「禰宜(ねぎ)」というのは一般には聞き慣れない神社独特の言葉ですね。
神社では食生活も独特の決まりなどがあるのでしょうか？

まず「禰宜」というのは、神職の職階(職名・職称)のひとつで一般の神社では宮司の次の位です。芝大神宮でいえば、父が宮司で、その下にいるナンバー2ということになります。
神社には独特の決まりごともありますが、私たちの食生活は普通ですよ。お寺と違って禁止されているものもありません。ただ、食事は絶対残さないようにしています。食べきれないと思ったら、手をつける前に取り分けるなどします。もっともボリュームがあるといわれるドイツ本国でも、私にはちょうどよく、そんな心配もありませんでした。

神社のお仕事をされる前は、頻繁にドイツに行っていらしたとか。
ドイツでの食生活も教えてください

家業を継いで神社の仕事をする前は、製薬会社に在籍しており、本社があるドイツにはよく行っていました。31歳まで会社勤めをした9年間の10％ぐらいはドイツにいた計算になります。ドイツではやはりビールとソーセージやハムを食べる機会が多かったですね。同僚の家などでもビールとワイン、お肉とハムソーセージを出してくれることが多かったですし、会社帰りにはビールとソーセージで一杯…。会社帰りのソーセージは、例えるなら新橋あたりで焼鳥で一杯、という感じに近いですね。ドイツのソーセージって、荒削りで繊細さはないんです。形が悪かったり、大きかったり小さかったり。日本ならきっちり形がそろっているでしょう。その辺が随分違います。ただ、ドイツ人は味にはうるさいので、おいしいですよ。

帰国後もソーセージはよく召し上がりますか？

よく食べますね。ただ、学生の頃はどんなものでも気にせず食べていましたが、本場のハムやソーセージを知った後では、何でもいいとは思えなくなりました。ある程度の価格のものを選ばないとダメということもわかりましたね。それを考えるとシェーンドルフは、この品質なのにリーズナブルな価格でやってくれているなと思います。来日したドイツ人がよくシェーンドルフの製品を食べているのをみかけます。彼らは本質をよく知っているから本当においしいものしか食べないんですよ。ただ、ドイツの価格からすると感覚的に2割ぐらい高いんじゃないかな。そこが「焼鳥」になれないところではないでしょうか。

シェーンドルフでお気に入りの商品とその召し上がり方を教えてください

年末などのセールの時によくに購入させていただいていますが、お気に入りはヴァイスシンケンですね。 海苔弁の海苔の変わりにヴァイスシンケンとご飯を重ねて「ハム重」のようにして食べるのもおすすめです。ヴァイスシンケンを軽く焼いてにんにく醤油をつけてご飯の上にのせ、もう一段ご飯とヴァイスシンケンを重ねます。このときにベーコンのようにカリカリに焼いてはダメ、ちょっと炙るぐらいに、というのがポイントですね。ご飯をガーリックライスにするともっとおいしくなる！　にんにく好きなら絶対にいいですよ。おまけに10分ぐらいで作れるので、時間の無いときに最適です。父なども喜んで食べています。これ、お弁当にして売り出したら人気が出ると思うんですけど (笑)。
あとは海苔と同じような感覚でヴァイスシンケンでマヨネーズとご飯を巻いて食べるのが好きです。実はこれ、銀座のある料亭で出している牛肉を使った「薄焼きまきまき焼き」という料理を参考に作ってみたもの。焼いた肉でごはんを巻いたのが「薄焼きまきまき焼き」ですが、牛肉の代わりにヴァイスシンケンでもすごく合います。先ほどの「ハム重」のハム巻きバージョンのような感じです。

今後シェーンドルフに希望することがあれば教えてください

弁当の話ではありませんが、もっとソーセージを身近にするには、頻繁に食べてもらうことが必要では。「ソーセージ」が「焼鳥」になれない理由のひとつには価格ですが、私のお願いとしては、このクオリティはそのまま維持して欲しいと思います。加えて、グレードを変えたラインナップを提供してはいかがかと。お茶で例えれば一番茶は一番茶でいいでしょうが、二番茶、三番茶のようなものを提供して欲しい。ただし、それでもその辺の商品よりもおいしいものをお願いします。